The Skylark of Space

iPod TouchKindleが使えるようになって、最初に買ってみたのはThe Ulitimate Science Fiction Collection。3ドル程度で30本くらいのSFが読める。

この中のひとつ、The Skylark of Spaceを読んでみたが、予想外に気に入ったので記録。
日本語版は多分、宇宙のスカイラーク号。イラストがライトノベルっぽい。

WikiPediaによると、SF史上初の、太陽系外を舞台とした作品だったらしい。

でも、太陽系外がどうのこうのより、主人公の科学者(Seaton)と敵科学者(DuQuesne)のかっこよさにハマった。

以下、印象的だったセリフのメモ。

敵科学者のDuQuesneは、主人公Seatonの婚約者Dorothyを誘拐し、光速を超えて飛んでいった。Seatonの友人は、理論上は光速は超えられないはずだという。これに対するSeatonのセリフ。

That is a theory, this measureent of distance is a fact.

「それは理論だ。計測された距離は事実だ。」
これは純粋にかっこいいと思った。実測値がことなれば、慣れ親しんだ理論を疑うことも辞さない柔軟性。

次。
敵科学者のDuQuesneは、Dorothyを誘拐して太陽系外に出るが、重力圏にとらわれて脱出不能になり、燃料も尽きる。Dorotyはもう望みはないというが、敵科学者DuQuesneは言う。

I have never been in any situation yet that I couldn't get out of, and I won't be convinced until I am dead that I can't get out of this one.

「あきらめるのは死んだときだけだ」的なセリフ。主人公側が言うならともかく、冷徹な敵科学者が言うところがいい。ガッツというよりは、あきらめても良いことなど何もないという冷静な判断。

さらに上の続きのシーン。
Seatonが助けに来るはずだというDorothyに、来ないでほしい、というDuQuesne。来ればSeatonも死んでしまうからだという。しかし、DuQuesneはSeatonを殺そうとしていたのではないか? 疑問をぶつけるDorothyに、DuQuesneは答える。

If I am to be out of the way--and frankly, I see very little chance of getting out of this--I hope that Seaton goes ahead with it.
It is the greatest discovery the world has ever known, and if both Seaton and I the only two men in the world who know how to handle it, drop out, it will be lost for perhaps hundreds of years.

「Seatonと私が両方とも倒れたら、数100年が失われる。それならSeatonが研究を続けたほうがいい。」
誘拐や殺人までして技術を独占しようとした悪党が、あくまでも科学者として技術の発展を望む。

これらのセリフ以降、それまで憎たらしかったDuQuesneのファンになった。
その後、DuQuesneはあまり活躍しなかったような気がするのがちょっと残念。