Justice再読: 第1章 Doing The Right Thing

わからなくて悔しかったので、Justice: What's the Right Thing to Do?を再読開始。今度は途中でわすれないようにメモを残したい。

第1章 Doing The Right Thing まとめ

全体の前置き的な内容。
何が正しい行いかを考えることは必ずしも簡単ではない。例えば、以下のような問題を考える場合、正しいのか/間違っているのか、それはなぜか、大いに議論の余地があるだろう。

  • (1) 被災地で物価が高騰。物価を制限する法律を施行すべきか。
  • (2) 戦争で負傷者に与えられることになっている勲章。精神的な傷についても授与対象とすべきか。
  • (3) 金融危機を引き起こした会社に多額の公的資金投入、しかし会社の役員は多額のボーナスを貰った。これ認めていい?
  • (4a) 架空の状況。トロリーを運転中、ブレーキが壊れて停止不能に。直進方向には5人の作業員がいて、このままだとひき殺してしまう。分岐点で別方向に進路をかえることができるが、そちらにも1人だけ作業員がいる。つまり、進路を変えればその1人をひき殺してしまう。直進すべきか、進路を変えるべきか?
  • (4b) 4aの変種。自分は暴走するトロリーを橋の上で見ている傍観者だ。このままだと、前方にいる5人の作業員がひき殺される。救う方法はただひとつ、自分のとなりにたまたま居合わせた体重の重そうな人をトロリーの前に突き落とすことだ。落とされた人は死ぬだろうが、トロリーはとまるだろう。突き落とすべきか?
  • (4c) 4bの変種。自分のとなりに居合わせた重い人は、なぜかスイッチ式の落とし穴の上に載っている。ハンドルを回すと、重い人は落ちる。ハンドルを回すべきか?
  • (5) テロリスト攻撃のための隠密作戦実行中に、現地人と遭遇。現地人はテロリストと通じているかもしれない。自分達の存在を敵に知らせるかもしれない。殺しておくべきか?
  • (6) その他いろいろある。堕胎は許されるか、富者から貧者への富の再配分をすべきか、アファーマティブアクションは正しいか、多数の人を救うためにテロリストを拷問するのは正しいか。

なにが正しいかを議論する際に、頻繁に論拠とされる観点が複数ある。大別して、福利(welfare)、自由(freedom)、美徳(virture)の3点を重視する思想がある。この本では、それぞれの思想と、長所/短所について論じる。

感想

第1章は前置きなので、特に理解する/しないという話ではない。ただ、本を通読したうえで改めて例題を見てみると、本で説明されていたどの思想を採用しても、必ずしも答えは出せない気がするなぁ。たとえば、ロールズの思想だったら(5)とかどうするんだろう。「疑わしきは殺す」「疑わしきは殺さない」いずれのルールを選ぶか、無知のベールの後ろでも決まらないんじゃないかと。
まああくまでも導入と思うので、ここから先を真剣に読むか。