ダメなソフト開発V1.0

(フィクションです)

あるソフトの開発を命じられたとしよう。たとえば、ウクレレの曲を自動的に作曲するソフト、とする。作曲のアルゴリズムなんか知らないって? 大丈夫。すでに研究所がプロトタイプを完成させているから、それを使えばいい。というかむしろ、研究所の成果をムダしないためのプロジェクトなんだけどね。

本当に作曲なんかできるのかな。プロトを動かした感触だと、どうみても発展途上な感じだけど・・・まずは、まともな曲が作れるのか評価してみないとね。まてまて。実力の評価なんかいいんだよ、とにかく製品化を優先させろ。エライ人の命令だ。

出来上がったソフトは、確かにタブ譜を量産することができた。しかしほとんどはラクガキで、10000曲中、まともな曲は1曲あるかどうか。使える曲を探すためには、演奏してみるしかない。いくらウクレレが好きでも、10000曲弾いたら指の皮がむけてくる。そもそも、10000曲吟味するくらいなら、最初から作曲家に依頼したほうが安価・確実ではないか?

とはいっても、エライ人には「うまくいきました。使える曲が出力されます。」という報告だけが上がるので、ソフト開発は成功したことになるのだった。