Birthright: The Book of Man あらすじ(寡頭制)

マイク・レズニックBirthright: The Book of ManKindle版を購入。レズニックのバースライトユニバースシリーズのベースとなる連作短編集。
読みながら、作品紹介的なあらすじを書き中。

今までに書いた部分。

今回は、寡頭制の時代。

第6の千年紀: 寡頭制(Oligarchy)

銀河暦4822年 行政官(The Administrators)

ベロウズのカンファー星系征服を皮切りに、人類は2度目の宇宙支配へと乗り出した。勢力を広げるうちに「民主制」は形骸化し、銀河の8割、115万の星々を支配下に置く頃には、7人の評議員が銀河を支配する「寡頭制」へと変化を遂げていた。巨大な領域を支配するために、否応なく巨大化する官僚機構。人類世界の中心であるデルロスⅧも手狭になり、デルロスⅧの周囲に人工的に配置した小惑星郡が、各省庁の拠点となっていた。
ウリツェ局長は、頭の痛い問題を抱えていた。彼女の指揮する異星人福祉局は、人間以外の種族のトラブルを一手に引き受ける部門であある。目下の問題は、2年以内に超新星となることが確実なBareimus星。星が爆発する前に住民を避難させなくてはならないが、避難のための予算は「知的生命体」のためにしか下りない。
よりによって、BareimusⅢの住人は、他に類を見ない不思議な種族だ。グリーニーと呼ばれる彼らは、移動できる食虫植物であり、単体では全く知能を持たないが、数千体の集合となれば超音波で交信しあう。ウリツェから見れば知的生命であることは明白だが、肝心の心理学部門がのらりくらりと結論を出さない。避難の期限を間近に迎え、ウリツェ局長はグリーニー達を救うキャンペーンをはる。

銀河暦 5461年 メディア王(The Media)

本来中央集権である寡頭制において、法の目をくぐり権力を握る地方役人たちが多数存在した。そんな彼らの対抗勢力となったのが、不正糾弾を格好のネタとするマスメディアであった。
アルデバラン系一帯の権力を握る調整官、ガイル・コバート。コバートを目の敵にするメディア王、ヨルグ・ボミン。放送内容の協定をエサにコバートを陥れようとするボミンを待ち受ける運命とは。

銀河暦 5492年 作家(The Artist)

作家のニースは、ある惑星にて休養中に、人間以外の異星人達の困窮を目の当たりにする。この体験を元に書いた本「The Steel Boot」は、史上最大の60億部のベストセラーとなり、異星人差別撤廃の機運は一気に高まるかに見えた。ニース自身も活動を続けるが、しかし結局は異星人の待遇は改善しなかった。出版30年後のインタビューで、ニースは問題の根源を語る。

銀河暦 5655年 生化学者(The Biochemist)

銀河の端近くに住むセト人との局地戦に敗北。最終的にはセト人との戦争には勝利したが、寡頭制下の人類を危機感が襲う。そんな中で一身に期待を背負ったのが、遺伝子操作により全ての面で全ての異星人を上回る新人類を作り出そうとする、超人創出プロジェクトであった。
才能溢れる生化学者ロジャースは、研究所入所以来1098番目の超人失敗作を生み出すに至り、自身を無くしていた。超人など生み出せるはずがない。半ば怒りさえ感じつつ辞職を申し出る彼だったが、研究所の所長により地下深くの秘密施設に案内される。そこで告げられた、超人開発プロジェクトの恐るべき真の目的とは?

銀河暦 5912年 武装勢力(The Warloards)

寡頭制の勢力は銀河全域を支配し、すでに人類に対抗しうる異星人勢力は皆無。敵を失った人類は、必然的に人類同士の争いを始めることとなり、各地に独立武装勢力が現れた。
武装勢力のうち、特に傑出していた頭目がグレイスである。元来は一隻の船の船長だったが、海賊業で稼ぎ、仲間を増やし、一大勢力を築きあげた。辺境だが人口が多いアルテア系、資源採取と武器製造の拠点であるスピカ、軍事的にはどうでもいいが宗教的・精神的な故郷である地球などを、破竹の勢いで奪取。しかし、銀河全域から見れば取るに足らない領域だ。寡頭制はビクともせず、まるで反応しようとしなかった。
寡頭制に自分達を認めさせるためには、寡頭制本拠地のデルロス系を攻めるしかない。そう決意したグレイスは、スピカで力を蓄える事を決意する。長い年月を経て白髪になりながも、600万隻の大艦隊を準備したグレイスは、寡頭制の本拠地デルロスⅧに進軍する。

#かっこいい話だ。時代は違うが、スターシップシリーズのベースなんじゃなかろうか。

銀河暦 5993年 陰謀者(The Conspirators)

偉大なるグレイスの死から80年、各地の武装勢力の力は徐々に増していた。グレイスは敗れたものの、デルロスⅧを直接狙うのが有効であると、誰もが認識していた。とはいえ、軍事力では以前として寡頭制が圧倒的であり、支配体制は安定しているように見えた。
ラモス・ブローダー提督は、寡頭制の軍においてNo2の地位に居たが、自身に満ちて野心的な彼は満足しなかった。寡頭制が安定しているかぎりは、これより上に行くことはできない。そこに訪れた武装勢力の密使は、暗殺による寡頭制の転覆計画を告げる。共謀を持ちかけるブローダーの決断とは。

#寡頭制といいながら、7人の評議員(でいいのか?)の話は全く出なかった気がするが・・・

→ 第7の千年紀、独裁制(Monarchy)につづく。