舟を編む


いろいろと困難を乗り越えつつ、国語辞典を一冊作り上げるという話。
これはかなり面白かった。入院の差し入れでもらったけど、読みやすくて、すごい勢いで読み終わった。
いやー、こんなもの読んだら紙の辞書を買いたくなって困るね。中で語られてる架空の辞典「大渡海」は買えないから、同規模だと言及されている広辞苑または大辞林
本当に買うと高いし場所とるから、とりあえずアソシエイトのリンクだけ。

広辞苑 第六版 (普通版)

大辞林 第三版

しかし、「ぬめり感」だけはどこかで体感しないと気がすまないな。広辞苑、むかし家にあった気がするんだが、そこまでめくりやすかったかな・・・

ともかく、「舟を編む」は楽しめた。キャラが魅力的で、すごく感情移入できるんだよね。辞書づくりの専門的なウンチクが多すぎず少なすぎずちょうどいいし。あと、読み返したくなる良いシーンがとても多い。最後のところ、メインキャラの一人である西岡の名前、のくだりは泣いた(個人的に一番のシーン)。ほかにも、冒頭の荒木の半生、馬締登場時の言語能力見せつけるところ、西岡対不倫教授対決とかいろいろ。実際、もう一周読みそうな勢いで読み返してしまった。
ソケブー大百科も笑ったなあ。あれは現実世界のポケモン大図鑑だと思うけど、同じように作ってたら笑える。「進化というのは成長とどう違うのか」「2進化ポケモンの子どもはタネになるのか」とか真剣に問い合わせてそう。

ただ、素人ながら、やっぱりファンタジーなんだろうな、と思った部分も。自分の計算によると、大渡海が出版されるのって、2025年くらいなんだよね。やってることが手作業すぎないかな。基本的になんでも紙で作業してる気がするけど、20万語とか処理するのに、この時代にそれでいいのか?

とくに、最後の最後で発覚するトラブル、紙に出して合宿して人海戦術でチェックですか。あんなの、Excel2025とか使って1時間でチェックじゃないですか。

とか思わずに、気分的には20世紀末くらいを想定して読むのが良い気がする。

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