秋葉原からの脱出


ソーサリーやっててゲームブックラノベ風にしたらいいのにと思って「ゲームブック」「ライトノベル」で検索したら、そんなのが存在したので買ってみた。Kindle版。Kindleなので、番号から番号へのジャンプはリンクで飛べるから便利。
ただ、自分が考えていたような、よくあるRPG的なストーリーじゃなかった。よくあるラブコメ系のライトノベル、主人公(男)がなぜかモテて、複数のヒロインから好意を寄せられているという状況で、読者が行動を選択できるようにした、的なもの。

複数ヒロインのラブコメゲームブックの組わせって相性良さそうで、非常に良いアイデアだと思うんだが、もっと流行らないかな。いろいろと発展させる可能性があると思う。ラブコメだと特に、主人公の行動が相手の気持ちに影響して展開が変わる、みたいなストーリーを展開しやすそうで、読むのも楽しいと思うんだが。ヒロイン達とどう接するとか。優しく、あるいは冷たく対応したらどういう態度を返されるとか。誰を選ぶとか振られるとか、迷ってみせるとか。
作者だって、「AとB、どちらの展開が良いだろうか?」って悩むことが多いんじゃないかと思うんだよな。どうせなら両方書いて、読者に選ばせたらどうかと。自分で主体的に選んでる感があると、感情移入の度合いも格段にアップするかと。

本作はAmazonのレビューでもわりと批判されているように、正直に言うとまだ完成度が低い気がする。例えば、番号が少ない(全部で45番まで)のは仕方ないとしても、選択できるシーンが非常に少ないんだよね。1番から始まって、2→25→42→24...と続くけれど、これは選んで飛んでるんじゃなくて、言われるままに一本道で飛んでるだけ。かなり長い間分岐しないから、普通に小説読んでるのと変わんないの。多分、選択できる番号って10箇所くらいしかないと思う。選択できないのにジャンプだけするのって、主体的どころか、読まされてる感が強くなってしまうようだ。最後の方で、ヒロインのうち誰と行動を共にするか、みたいな時点に来るまで、選択らしい選択が無い。

これは惜しい。もっとラブコメ系の選択肢を散りばめられたはずじゃないか。最初の方だけでも、例えば2番で妹ヒロインに「兄妹じゃなければ・・・」みたいに言われた時に、否定以外の反応は返せないのか? 同じく2番で、幼なじみヒロインに相談するかどうか、まずは選ばせてくれ。25番で、幼なじみヒロインが自分も来ると言った時、断る選択肢をくれ。断っても結果的に無理やり付いてくる事にすればその後の展開は共有できるだろ。とか、思いつくところ分岐にしてたらキリがないけど、番号が45番もあればまだやれる事いっぱいあるでしょ。ひたすら一本道で読ませてる場合じゃないぞ。
あと、閉鎖空間の秋葉原から脱出する、という設定は良いんだけど。脱出の可否に焦点をあてても仕方ないよね。別に頭脳戦やるわけじゃないんだから、あくまでもラブコメを引き立てるための舞台設定でしょ。であれば、その舞台を活かした「ラブコメ+選択」に徹して欲しかったよ。

文句を言うほど好きって事かもしれないが、なんとなく無限な可能性を感じるので、もっと練って次回作出してくんないかな。

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