いんちき割引券がなぜ許せないか

ネットで仲間、時間内に揃えば大幅割引

厳しい視線も浴びる。リクルートは今月21日に専用ホームページを開いたが、初日に売った飲食店の「50%引き5千円」の料理が通常4800円のコースと同じだったため、ツイッターなどで「高い」との批判が広がった。割引券を企画したリクルートは「テーブルにバラをちりばめるなど特別な演出を含めて1万円のものを割引したが、わかりにくかった」として、料理を8400円のコースと同じにした。(和気真也)

「50%引き5千円」の触れ込みで買ったチケットだが、実際には普通に5千円分の料理しか食べられなかった、という話。5千円払って5千円の料理食べたんだから、理屈の上では何の問題もないような気がするんだけど。なんだかとてもモヤモヤする。詐欺とすら思える。
なんでそう感じるんだろうか。実際は安くないのに「通常より割引した価格です」と見せかけるのは常套手段であり、普通なら誰も文句言わないのに。
例えば私が愛用する洋服の青山なんて、「スーツ半額」とか、「1着買えば2着目はタダ同然」とか、常に何らかの形で半額セールをやってる。これは常識的に考えれば、通常の2倍の値段を定価に設定し、半額といいながら実は通常の値段で売っている、ということだろう。でも客は別に怒らないし、手ごろな値段のスーツを買えて喜ぶ。
なんでリクルートのいんちき割引券は納得できないのに、青山はいい店だと思うんだろう。ひょっとしたら、こういうときこそJusticeに書いてあったカントの定言命法の出番かもしれない。つまり、それをみんながやったらどうなるか
リクルートのいんちき割引券。あらゆるチケット屋が、「50%引き5千円」の触れ込みでチケットを売りながら、実質5千円の食事しか出さなかったとする。そうなると、誰も割引券を信用しなくなるだろう。割引券を買わずに、直接店に行くようになるだろう。つまりこの商法は、普遍的には成立しない。従って不正義である。
青山の半額スーツ。あらゆる洋服店が、実際には普通の値段であるにも関わらず、半額セールだと宣伝したとしよう。誰も本当に半額だとは信じなくなる。というか、現状すでに誰も信じていないだろう。しかし、だからといって青山で服を買う人は後を絶たない。従って、正義に照らして問題はない。
自分は納得できたが、カントの解釈がこれでいいのかどうか不明。カントの章を再読したらまた考えてみよう。